『マジック・ザ・ギャザリング』のルールを私自身も学びながら紹介するMTGメモ。
今回は『接死』『二段攻撃』『トランプル』の3つのキーワード能力を持つ攻撃クリーチャーがブロックされたときについて解説していきます。
戦闘に関連した3つの能力が絡み合いややこしく感じられますが、ひとつひとつの能力をきちんと理解していれば問題ないかと思います。
ただし、ブロック・クリーチャーに破壊不能やプロテクション持ちがいるケースは勘違いが生まれやすいので詳しく解説しました。参考になれば幸いです。
各能力の解説
まずは各能力について簡単に解説していきます。
個別に詳しく解説している記事もあるのでよかったらご覧ください。
接死について
接死は「接死を持つクリーチャーから1点以上のダメージを受けたクリーチャーは破壊される」という能力です。
そのため攻撃時には、ブロック・クリーチャーに戦闘ダメージを1点割り振るだけでタフネスに関係なく致死ダメージとして扱われます。
二段攻撃について
二段攻撃は「戦闘に参加すると戦闘ダメージ・ステップを追加し、先制攻撃と通常攻撃で攻撃を2回行う」という能力です。
トランプルについて
トランプルは「すべてのブロック・クリーチャーに致死ダメージを割り振った場合、余剰ダメージをプレイヤーに与えることができる」という能力です。
また、ブロック・クリーチャー指定後にブロックするクリーチャーがいなくなった場合、通常はプレイヤーにダメージを与えることは出来ませんが、トランプルを持った攻撃クリーチャーなら戦闘ダメージをすべてプレイヤーに与えることができます。
接死+二段攻撃+トランプルの効果
それでは、接死・二段攻撃・トランプルを持つ攻撃クリーチャーがブロックされたときにどうなるのか、ブロック・クリーチャーのパターン別に解説します。
この記事では便宜上、先制攻撃の戦闘ダメージを与えるステップを『第1戦闘ダメージ・ステップ』、通常の戦闘ダメージ・ステップを『第2戦闘ダメージ・ステップ』と表記しています。
ブロッカーが1体
まずはブロック・クリーチャーが1体の状況から見ていきましょう。
接死・二段攻撃・トランプルを持つ3/3の攻撃クリーチャーが4/4のクリーチャーにブロックされたとします。
この戦闘では攻撃クリーチャーが二段攻撃を持っていることから『戦闘ダメージ・ステップ』が2つ発生。『第1戦闘ダメージ・ステップ』では二段攻撃を持つ攻撃クリーチャーのみが戦闘ダメージを与えます。
戦闘ダメージの割り振りはトランプルのルールに従って行います。通常であれば、まずブロック・クリーチャーに致死ダメージ、つまりタフネスに等しい値の4点ダメージを割り振るのですが……
攻撃クリーチャーが接死を持っていることから、ブロック・クリーチャーのタフネスに関係なく1点以上の戦闘ダメージを割り振れば致死ダメージとして扱われます。
702.2c 0点でない戦闘ダメージが接死を持つ発生源によってクリーチャーに割り振られた場合、戦闘ダメージの割り振りが適正かどうかを判断する上で、それはそのクリーチャーのタフネスによらず致死ダメージとして扱われる。
マジック総合ルール(和訳 20200925.0 版)より引用
なのでブロック・クリーチャーに割り振るべき最小ダメージは1点。残った2点はプレイヤーに割り当てることが可能です。
『第2戦闘ダメージ・ステップ』ではブロック・クリーチャーがいなくなっているので、トランプルの能力に従いプレイヤーに3点のダメージを与えて戦闘フェイズが終了。
よって、接死・二段攻撃・トランプルを持つ3/3の攻撃クリーチャーが4/4のクリーチャーにブロックされたとき、プレイヤーに与えられる最大ダメージは5点。ブロック・クリーチャーは先制攻撃で接死の1点ダメージを受け死亡し攻撃クリーチャーは無傷、という結果になります。
接死・二段攻撃・トランプルを持つ攻撃クリーチャーが1体のクリーチャーにブロックされた場合、『第1戦闘ダメージ・ステップ』で1点の接死ダメージをブロック・クリーチャーに割り振って破壊し、残ったダメージをプレイヤーに与えることが可能。
『第2戦闘ダメージ・ステップ』ではブロック・クリーチャーがいなくなったため、戦闘ダメージはすべてプレイヤーに割り振られる。
ブロッカーが複数体
次に、接死・二段攻撃・トランプルの持つ3/3の攻撃クリーチャーが2体の4/4クリーチャーにブロックされたケースを見ていきましょう。
複数のクリーチャーにブロックされた場合、ダメージ割り振り順に従って致死ダメージを割り振っていきます。今回は攻撃クリーチャーが接死を持っていることから、各クリーチャーへの致死ダメージはそのタフネスに関係なく1点です。
そのため、『第1戦闘ダメージ・ステップ』では2体のクリーチャーに1点の致死ダメージをそれぞれ割り振り、残った1点がプレイヤーに貫通します。
『第2戦闘ダメージ・ステップ』はプレイヤーへの直接攻撃となります。3点のダメージが入り戦闘フェイズが終了。
よって、接死・二段攻撃・トランプルの持つ3/3の攻撃クリーチャーが2体の4/4クリーチャーにブロックされたとき、プレイヤーに与えられる最大ダメージは4点。2体のブロック・クリーチャーは先制攻撃の接死ダメージで破壊され攻撃クリーチャーは無傷、という結果になります。
接死・二段攻撃・トランプルを持つ攻撃クリーチャーが複数のクリーチャーにブロックされた場合、『第1戦闘ダメージ・ステップ』で1点の接死ダメージを各ブロック・クリーチャーに割り振る。すべてのクリーチャーに致死ダメージを割り振った上で余剰のダメージが存在するならプレイヤーに与えることが可能。
『第2戦闘ダメージ・ステップ』は、ブロック・クリーチャーがいない場合はプレイヤーに直接攻撃。ブロック・クリーチャーがまだ残っている場合は致死ダメージの1点を割り振っていき、発生した余剰ダメージはプレイヤーに与えることができる。
ブロッカーが破壊不能持ち
では、5/5で破壊不能を持つクリーチャーにブロックされたらどうなるでしょうか。
「接死でも破壊できない破壊不能クリーチャーにブロックされたらプレイヤーにダメージが通らないのでは……」と勘違いされがちですが、これまでと同様に、破壊不能持ちのクリーチャーであっても1点の接死による致死ダメージを割り振れば余剰ダメージはプレイヤーに貫通可能です。
トランプルはダメージを割り振る段階でブロック・クリーチャーに致死ダメージ(タフネスに等しいダメージ)を割り振れば余ったダメージをプレイヤーに割り当てることができる能力です。
702.19b トランプルを持つ攻撃クリーチャーのコントローラーは、ダメージをまずそれをブロックしたクリーチャー(群)に割り振る。それらのブロック・クリーチャーすべてに致死ダメージが割り振られた場合、攻撃クリーチャーのコントローラーは、余剰のダメージを、ブロック・クリーチャーと防御プレイヤーまたは攻撃しているプレインズウォーカーに選んで割り振る。
マジック総合ルール(和訳 20200925.0 版)より引用
そして接死は「1点以上の戦闘ダメージを割り振れば致死ダメージとして扱われる」という能力。どちらの能力もその致死ダメージで実際にクリーチャーが破壊されるかどうかは一切考慮しません。
なので、『第1戦闘ダメージ・ステップ』で破壊不能クリーチャーに割り振る戦闘ダメージは1点。すべてのブロック・クリーチャーに致死ダメージを割り振ったことにより、残った2点をプレイヤーに与えることが可能となります。
続く『第2戦闘ダメージ・ステップ』。ここがちょっとややこしいです。
先制攻撃で接死による致死ダメージをすでに受けた破壊不能クリーチャー。であれば「もう戦闘ダメージを割り振る必要はない」と考えることもできそうですが……
実は、再度1点の戦闘ダメージを割り振る必要があります。
なぜなら接死は「最後に状況起因処理をチェックした以降に接死を持つ発生源からのダメージを与えられたクリーチャーは状況起因処理によって破壊される」という能力だからです。
702.2b 最後に状況起因処理をチェックした以降に接死を持つ発生源からのダメージを与えられた、タフネスが0よりも大きいクリーチャーは、状況起因処理によって破壊される。
マジック総合ルール(和訳 20200925.0 版)より引用
加えて破壊不能は「接死による状況起因処理の破壊を無視する」という能力を持っています。
702.12b 破壊不能を持つパーマネントは破壊されない。そのパーマネントは致死ダメージで破壊されることもなく、致死ダメージをチェックする状況起因処理を無視する。
マジック総合ルール(和訳 20200925.0 版)より引用
つまり、状況起因処理での破壊をスルーされた接死からの1点ダメージはその効果を失い、ブロック・クリーチャーは「1点のダメージを負っている破壊不能を持つクリーチャー」と見なされます。
なので『第2戦闘ダメージ・ステップ』も1回目と同様、「ブロック・クリーチャーに1点、プレイヤーに2点」というように割り振らなければなりません。
よって、接死・二段攻撃・トランプルを持つ3/3の攻撃クリーチャーが破壊不能を持つ4/4のクリーチャーにブロックされたとき、プレイヤーに与えられる最大ダメージは4点。攻撃クリーチャーは『第2戦闘ダメージ・ステップ』でブロック・クリーチャーから3点のダメージを受けて死亡し、ブロック・クリーチャーは2点のダメージを受けた状態で生存、という結果になります。
接死・二段攻撃・トランプルを持つ攻撃クリーチャーが破壊不能クリーチャーにブロックされた場合、2度の戦闘ダメージ・ステップでそれぞれ1点の致死ダメージを割り振り、余剰ダメージをプレイヤーに与えることができる。
ブロッカーがプロテクション持ち
最後に、攻撃クリーチャーが対応するプロテクションを持つ5/5のクリーチャーにブロックされたケースを考えてみましょう。
プロテクションはダメージを軽減する効果を持っているため致死ダメージを割り振っても実際に与えるダメージはゼロですが、トランプルのダメージ割り振り時には致死ダメージを割り振ったかのチェックにダメージを軽減する効果を考慮しません。
702.19b 致死ダメージを割り振られたかどうかのチェック時には、そのクリーチャーが負っているダメージや同時に与えられる他のクリーチャーからのダメージも考慮に入れるが、実際に与えられるダメージの量を変化させ得る能力や効果は考慮に入れない。
マジック総合ルール(和訳 20200925.0 版)より引用
破壊不能のケースと同様、見た目上の致死ダメージを割り振れば余剰のダメージを貫通させられます。
なので『第1戦闘ダメージ・ステップ』ではブロック・クリーチャーに接死による1点の致死ダメージを割り振り、残りの2点をプレイヤーに与えることが可能。
『第2戦闘ダメージ・ステップ』に入りますが、ブロック・クリーチャーは接死の1点ダメージを軽減しており、破壊はおろか無傷のままブロック状態を継続しています。
そのため、再度致死ダメージの割り振りが必要。『第1戦闘ダメージ・ステップ』と同様に「ブロック・クリーチャーに1点のダメージ割り振り、余剰の2点ばプレイヤーに貫通して戦闘フェイズは終了。
よって、接死・二段攻撃・トランプルを持つ3/3の攻撃クリーチャーが対応するプロテクションを持つ4/4のクリーチャーにブロックされたとき、プレイヤーに与えられる最大ダメージは4点。攻撃クリーチャーは『第2戦闘ダメージ・ステップ』でブロック・クリーチャーから4点のダメージを受けて死亡し、ブロック・クリーチャーはダメージを軽減する、という結果になります。
接死・二段攻撃・トランプルを持つ攻撃クリーチャーが対応するプロテクションを持つクリーチャーにブロックされた場合、2度の戦闘ダメージ・ステップでそれぞれ1点の致死ダメージを割り振り、余剰ダメージをプレイヤーに与えることができる。
まとめ
接死・二段攻撃・トランプルを持つ攻撃クリーチャーがブロックされたときのポイントをまとめました。
- 接死・二段攻撃・トランプルを持つ攻撃クリーチャーがブロックされたとき、「各クリーチャーに致死ダメージの1点を割り振り、余剰したダメージをプレイヤーに与える」を先制攻撃の戦闘ダメージ・ステップと通常の戦闘ダメージ・ステップで2回行う。
- 攻撃クリーチャーは接死を持っているため、各クリーチャーに割り振る最小の致死ダメージは1点となる。
- 戦闘中にブロック・クリーチャーがいなくなったとき、トランプルの効果によりすべての戦闘ダメージをプレイヤーに与える。
- 破壊不能を持つクリーチャーにブロックされた場合、先制攻撃の戦闘ダメージ・ステップと通常の戦闘ダメージ・ステップでそれぞれ1点の致死ダメージを割り振る必要がある。(タフネスが1の場合を除く)
- 対応するプロテクションを持つクリーチャーにブロックされた場合、先制攻撃の戦闘ダメージ・ステップと通常の戦闘ダメージ・ステップでそれぞれ1点の致死ダメージを割り振る必要がある。