『マジック・ザ・ギャザリング』のルールを私自身も学びながら紹介するMTGメモ。
今回はキーワード能力『トランプル』について書いていきたいと思います。
「ブロックされてもダメージが貫通する」といった曖昧な感じで浸透していますが、実際のルールはどうなっているのか見てみましょう。
トランプルとは
MTG公式サイトの『マジック総合ルール』からトランプルの定義を引用しました。
702.19a トランプルは、攻撃クリーチャーの戦闘ダメージの割り振りのルールを変更する常在型能力である。トランプルは、ブロック時や戦闘ダメージ以外のダメージを与えたりする時には特別な影響を及ぼさない。rule 510〔戦闘ダメージ・ステップ〕参照。
702.19b トランプルを持つ攻撃クリーチャーのコントローラーは、ダメージをまずそれをブロックしたクリーチャー(群)に割り振る。それらのブロック・クリーチャーすべてに致死ダメージが割り振られた場合、攻撃クリーチャーのコントローラーは、余剰ダメージを、ブロック・クリーチャーと防御プレイヤーまたは攻撃しているプレインズウォーカーに選んで割り振る。致死ダメージを割り振られたかどうかのチェック時には、そのクリーチャーが負っているダメージや同時に与えられる他のクリーチャーからのダメージも考慮に入れるが、実際に与えられるダメージの量を変化させ得る能力や効果は考慮に入れない。コントローラーはそれらのブロック・クリーチャーすべてに致死ダメージを割り振る必要はないが、その場合には防御プレイヤーやプレインズウォーカーにはダメージを割り振ることはできない。
702.19c トランプルを持つ攻撃クリーチャーがブロックされ、しかし戦闘ダメージを割り振る時点でブロック・クリーチャーがいなければ、その戦闘ダメージは全て攻撃した先の、プレイヤーやプレインズウォーカーに割り振られる。
702.19d トランプルを持ったクリーチャーがプレインズウォーカーを攻撃した場合、そのプレインズウォーカーが戦闘から離れていたり、プレインズウォーカーの忠誠度以上の戦闘ダメージを割り振れる状態であったりしても、戦闘ダメージを防御プレイヤーに割り振ることはできない。
702.19e 1体のクリーチャーに複数のトランプルがあっても効果は変わらない。
トランプルの処理
次に、トランプルの有無で戦闘がどう変わるのか例を挙げつつ解説します。
バニラクリーチャーで攻撃する場合
通常、攻撃クリーチャーが対戦相手のクリーチャーにブロックされた場合、対戦相手(もしくはプレインズウォーカー)に戦闘ダメージが通ることはありません。
これはクリーチャーのパワー/タフネスにどれだけ差があろうが関係ナシ。
上記画像のケースなら、ブロック・クリーチャーにパワー10点をすべて割り振って破壊。これで終わりです。
ブロック・クリーチャーがいなくなった場合
また、ブロックされることになった攻撃クリーチャーは、戦闘解決前にブロック・クリーチャーが戦場を離れたとしても、対戦相手に直接攻撃することはできません。
攻撃クリーチャーは『ブロック・クリーチャー指定ステップ』で対戦相手にブロックされることを選ばれた時点で「ブロックされているクリーチャー」という状態になり、攻撃先がブロック・クリーチャーに確定。
この状態になってからブロックするクリーチャーがいなくなっても、ブロッカーがさっきまでいた空間へ無意味に突進するだけのようなイメージです。
トランプルを持つクリーチャーで攻撃する場合
トランプルを持つ攻撃クリーチャーがブロックされた場合、まずパワーからブロック・クリーチャーにダメージを割り振ります。
そして、すべてのブロック・クリーチャーに致死ダメージを割り振った上でまだパワーが残っているのなら、その値だけ対戦相手(プレインズウォーカー)にダメージを与えることができる……というのがトランプルの内部的な処理です。
逆に言うと、対戦相手にダメージを与えるには全てのブロック・クリーチャーに致死ダメージを割り振ることが最低条件。
自身のパワーよりタフネスが高いクリーチャーにブロックされたのであれば当然ダメージは貫通しません。
また、複数のクリーチャーで「攻撃クリーチャーのパワー≦ブロック・クリーチャーのタフネス合計値」となるようにブロックされた場合も同様です。
ブロック・クリーチャーがいなくなった場合
そして、ブロック指定後にブロック・クリーチャーが戦場を離れた際の展開も、トランプルの有無で大きく変わってきます。
バニラクリーチャーだとただ虚空を殴るだけでしたが、トランプル持ちの攻撃クリーチャーならダメージを割り振る相手が消滅したことで、ブロックされていない時と同様にパワーの値だけ対戦相手にダメージを与えることが可能。
守備側が自らブロック・クリーチャーをバウンスしたり生け贄に捧げたりするコンバットテクニックも、トランプル持ちの攻撃クリーチャー相手には通用しません。
トランプルの詳しいルール
トランプルの効果について、勘違いしがちなや知っておくと役立つルールをまとめました。
トランプルの効果は攻撃時のみ有効
トランプルは攻撃時にのみ効果を発揮する能力であり、ブロック時にはなんの意味も持ちません。
2/2の攻撃クリーチャーを6/6トランプルのクリーチャーでブロックすれば4点が対戦相手に入るということはなく、攻撃クリーチャーに6点与えて破壊するだけです。
致死ダメージは合算
ブロック・クリーチャーに割り振る致死ダメージは、そのクリーチャーがすでに負っているダメージを考慮します。
例えば、0/4のブロック・クリーチャーが戦闘前に2点のダメージを受けていた場合、このクリーチャーに最低限割り振る必要のあるダメージ量は2点です。
ブロック・クリーチャーの破壊は不要
ブロック・クリーチャーが『プロテクション』や『破壊不能』など「ダメージを与えられない・破壊できない能力」を持っている場合はどうなるでしょうか。
これは通常通り、そのブロック・クリーチャーにタフネス上の致死ダメージを割り振り、余剰分が貫通ダメージとして対戦相手に与えられます。
ブロック・クリーチャーが持つ防御能力はダメージを割り振る段階で考慮されず、数値上の致死ダメージを与えさえすればトランプルの能力は有効。
もちろん、タフネスぶんだけ対戦相手へのダメージは減りますが「ブロック・クリーチャーを破壊しなければダメージが貫通しない」ワケではないというのがポイント。
戦闘で死亡してもダメージは貫通
戦闘ダメージのやり取りは同時(二段攻撃・先制攻撃持ちを除く)のため、トランプル持ちの攻撃クリーチャーが戦闘の結果、死亡するとしても余剰ダメージは貫通します。
たとえブロック・クリーチャーのパワー/タフネスが99/1だったり接死持ちだったとしてもトランプルを封じることはできません。
トランプルを「クリーチャーを破壊してから対戦相手を殴りに行く」のようなイメージを持っていると誤解しやすいので注意。
接死が加わるとさらに強力に
トランプルを持つクリーチャーに接死を付与すると、その突破力はさらにパワーアップ。
接死能力によりブロック・クリーチャーへの致死ダメージが1点に、トランプル能力により余剰ダメージが対戦相手へと貫通。
そのため、トランプルと接死を持つクリーチャーが対戦相手に与えられるダメージは、ブロック・クリーチャーの質によらず「攻撃クリーチャーのパワー」から「ブロック・クリーチャーの数」を引いた値になります。
ダメージを増やす効果はダメージ割り振りの後
与えるダメージを2点増やす『朱地洞の族長、トーブラン』や2倍にする『獲物貫き、オボシュ』などのダメージ置換効果はダメージを割り振る段階では考慮されません。
そのため、トランプルを持つクリーチャーがブロックされた場合、通常通りブロック・クリーチャーに致死ダメージを割り振り、その後に置換効果が適用されます。
まとめ
- トランプルはブロックされても対戦相手にダメージを与えられる能力。
- すべてのブロック・クリーチャーに致死ダメージを割り振った上で残ったパワーの値だけ貫通。
- トランプルは攻撃時のみ有効。
- 数値上の致死ダメージを割り振りさえすれば、ブロック・クリーチャーが破壊できなくてもダメージは貫通。
- トランプルと接死が組み合わさると最強。
どうしてもプレイヤーに直接攻撃したい場合は『ブロック・クリーチャー指定ステップ』に入る前に相手クリーチャーを除去しましょう。