先日、ランス完結作の『ランスⅩ―決戦―』をクリアしました。
ランスシリーズはファイナルファンタジーのようにナンバリングごとに世界観や登場キャラクターが変わるタイプではなく、ランスという主人公を中心に同じ世界を一本の時間軸で突き進んでいったゲームです。
そんな中、シリーズ完結作・シリーズ完全終了と銘打って発売されたナンバリング10作目。かつての人気シリーズがいつのまにかに続編が出なくなりなかったことにされる……という経験はよくありますが、ここまで正面からシリーズ終了を宣言されることってあまりありませんよね。
長寿シリーズということもあって、ランスという男の人生をどう終わらせるのか、この世界観にどう蹴りをつけるのか、プレイ前は期待と不安が入り混じっていました。
ですがそれは杞憂で、クリア後には重い「ランスロス」を引きずるほどに充実しており満足の行く内容でした。
もちろん満足だったのはストーリーだけではありません。「遊べるエロゲー」の代表格だけあって、ゲーム部分もたいへん楽しくかつやり込み甲斐がありました。
なので今回はシナリオには触れず、ゲーム部分を中心にレビューしてみました。
周回前提
まず最初に言っておくべきことは、『ランスⅩ』にはエンディングが複数あり、クリアには周回プレイが必須になります。
と聞くと拒否反応を示す方もいるかも知れませんが安心してください。最初からラスボスまでを何度も繰り返すわけではありません。ラスボス(グッドエンド)にたどり着くまでに何度もやり直すという感じです。
「なぜバッドエンドになったのか」が考えばわかるようになっているので、都度改善しグッドエンドへの道を模索するというのがとても楽しいんです。
分岐もたくさんあるので毎回新しいシナリオやキャラとの出会いもあり飽きを感じさせません。
また、引き継ぎ要素は少なくプレイヤーの知識とプレイスキルが鍵になってきます。ひたすらレベルを引き継ぎ上げ続けて最終的に無双するなんてこともできません。
限られた時間の中でどうイベントを立ち回り、仲間を増やし、キャラを成長させていくかを突き詰めていくのがこのゲームの面白さです。
ジャンルはシミュレーションRPG
このゲームのジャンルはシミュレーションRPGと呼ぶのが適切だと思います。
ゲームの大まかな進行としては、
- 軽い戦闘か会話イベントの「準備フェイズ」
- 大規模な作戦で戦闘に参加する「作戦フェイズ」
- 会話イベントの「拠点フェイズ」
この3つの行動で1ターンとなり、最大16ターンまでプレイします。(最大ターン数は説明書にも記載されています)16ターンと聞くとすぐ終わりそうな気がしますが、作戦フェイズなんかは初見なら数時間は軽くかかるのでかなりの大ボリュームです。
メインとなる作戦フェイズですが、自由に動けるマップやダンジョンというものはなく、マスで形成されたルートを選択して進んでいく形式です。
マスごとに会話イベントや戦闘の発生が定められています。分岐も多く、戦闘結果や特殊な条件を満たした状態でのみ選択できるものもあります。
ターン数によって戦局は大きく変わることがあるので、プレイを重ね、より効率的な動きを突き詰めていくことがクリアへの近道となります。
シンプルかつ奥深いバトルシステム
このゲームのキモであるバトルはオーソドックスなターン制コマンドバトルとなっています。これがとにかくシンプルな作りになっています。
まずキャラクターのステータスがどうなっているかと言うと、
数値はHPとATK(攻撃力)の2つのみ。なんとスキルも1キャラ2つまでです。攻撃・補助・確率で発動・パッシブ等々のスキルを全部まとめて2つのため、補助オンリーのキャラや自発的に行動ができないキャラなんかもいます。
経験値が貯まるとランクが上がり成長しますが、HPとATKが上昇するだけです。
戦闘のやり取りもとてもシンプルです。ランス10では最大7人でパーティが組めるのですが、各キャラのHPの合計値が部隊のHPとなります。つまりHPは部隊で一元管理です。敵も同様なので実質的にはドラクエ1のような1対1の構図になります。
戦闘では各キャラのスキルを使用して敵に対処していくわけですが、スキルにはコストが設定されています。
数字分のアクションポイント(AP)を消費することでスキルが使用できます。このAPですが各キャラに設定されているわけではなく、HP同様部隊全員で共有しています。
そしてなによりも重要なことは、APはターン開始時に2、2ターン目以降に2ずつしか溜まっていかないということです。
各行動スキルの消費APは少なくとも1あります。もし7人全員がAP消費1のスキルを所持していたとしても、1ターン目には2人しか行動することができません。ごく稀に消費APゼロのスキルも存在しますが「直前のターンで使用したスキルの消費APは1増大する」という制約もあり、やはりスキルを打ち続けるということはできない仕様になっています。
また、敵の次ターンの行動は常に確認できるようになっています。常に先を読みながら行動することが重要です。
この限られたリソースの中でどうメンバーを選びどう立ち回っていくかというのがこのゲームの戦闘の面白いところです。
仲間の増やし方
このゲームでは仲間の数がそのまま強さに直結するようになっています。ただしイベントで強制入手するカードはごく一部で、基本的には戦闘勝利後のランダムドロップで入手することになります。
レアリティも存在し入手がランダムということでいわゆるソシャゲーのようなイメージを抱くかもしれませんが、完全に運任せというわけではありません。
なぜかと言うとドロップ率はプレイングによって高めることができるからです。
トドメを刺したキャラがその作戦内で初めて刺した場合は50%アップ、またオーバーキルの割合分ドロップ率は上昇します。
これは経験値も同じような仕様となっています。
本作の戦闘回数は有限なので、ザコ戦のプレイングも非常に重要となってくるわけです。
不要なキャラがいない
個人的に気に入ってる要素として、このゲームの戦闘には不要がキャラがいないというものがあります。
『ランスⅩ』には過去作のキャラが大集合するお祭りゲーなので、総勢200人以上(同一キャラの別カードもあるので実際にはもっと多い)が登場します。リーダーに選出できるのは7人だけなので、不要なキャラがたくさん出てくるのでは?と思われるかもしれませんが、そうならないよう配慮されています。
リーダーのHP、ATKは以下の補正がかかります。
- リーダー本人の値×5+リーダーと同派閥である全員の合計値
リーダーはあくまで「リーダー」で、戦闘には全員参加しているというイメージです。
このシステムのおかげで不要なキャラというのは基本的に存在せず、キャラが多ければ多いほどプレイヤー側は強くなります。
このモブ戦士のステータスも微力ではありますが反映されているわけです。また、〇〇スキル(同派閥のキャラがリーダーに選出されると常時適用されるスキル)も効果を発揮します。1%の物理ダメージ軽減ではありますが、5人いれば5%減とバカにはできません。
最後に
『ランスⅩ』がゲームとして面白いのはもちろんですが、シリーズ完結作ということで過去作のストーリーを把握した上でプレイするというのがなによりのオススメです。
初期3作はリメイクしてプレイしやすくなっていますし、ナンバリング7に相当する戦国ランスは今やってもめちゃくちゃ面白い上にストーリーも独立しているのでランスシリーズを初めてプレイする人にもオススメです。最低限のストーリーを抑えておきたいのであれば6、8(ランスクエスト)、9で十分かと思います。
長期シリーズがキチンと完結する、というのはゲーム業界で見てもかなり稀です。今からでもその足跡を追ってみるのも面白いと思います。