『マジック・ザ・ギャザリング』のルールを私自身も学びながら紹介するMTGメモ。
今回は「『光明の繁殖蛾』のクリーチャー復活能力でクリーチャー・トークンを復活させることができるのか?」について考えていきたいと思います。
結論から言うと、『光明の繁殖蛾』でクリーチャー・トークンを復活させることはできません。
なぜなら「墓地に置かれたトークンは即座に消滅してしまうから」です。
理由を解説していきます。
トークンが光明の繁殖蛾で復活できない理由
光明の繁殖蛾の能力について
Luminous Broodmoth / 光明の繁殖蛾 (2)(白)(白)
クリーチャー — 昆虫(Insect)
飛行
あなたがコントロールしていて飛行を持たないクリーチャーが1体死亡するたび、それをオーナーのコントロール下で飛行カウンターが1個置かれた状態で戦場に戻す。
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『光明の繁殖蛾』の能力は「飛行を持たないクリーチャーが墓地に置かれたタイミングで誘発し、そのクリーチャーに飛行を付与した状態で復活させる」という誘発型能力です。
このように、クリーチャーが死亡した時に誘発する能力のことを『死亡誘発』と言ったりもします。
死亡誘発はトークンでも誘発する
この死亡誘発ですが、クリーチャー・トークンが死亡した場合も誘発します。
111.7 戦場以外の領域に存在するトークンは、消滅する。これは状況起因処理である。rule 704 参照。(トークンが領域を移動した場合、消滅する前に、それによる誘発型能力は誘発する)
マジック総合ルール(和訳 20200703.2 版)より引用
なので、『光明の繁殖蛾』の誘発型能力はクリーチャー・トークンが死亡した場合も誘発し、スタックに乗ります。
では何故トークンは復活できないのでしょうか?
死亡したトークンは消滅
能力は誘発するのに戦場に戻れない理由。それは、トークンが「戦場を離れると消滅する」という性質を持っているからです。
正確に言うと「戦場以外の領域に存在するトークンは次の状況起因処理で消滅する」とルールで定められています。
111.7 戦場以外の領域に存在するトークンは、消滅する。これは状況起因処理である。rule 704 参照。(トークンが領域を移動した場合、消滅する前に、それによる誘発型能力は誘発する)
マジック総合ルール(和訳 20200703.2 版)より引用
状況起因処理:プレイヤーが優先権(呪文を唱えたり能力を起動する権利)を得る際にチェックされる処理のこと。スタックには乗らない。
「致死ダメージを受けたクリーチャーが死亡する」「ライフがゼロ以下になったプレイヤーが敗北する」などは、この状況起因処理のチェックで処理されて初めて確定する。
つまり、トークンが死亡すると『光明の繁殖蛾』の能力は誘発するものの、トークンは能力解決以前に消滅してしまい、死亡誘発を解決する時には復活させるクリーチャーが存在しない……
これが『光明の繁殖蛾』の能力でクリーチャー・トークンを復活させることが出来ない理由です。
能力解決までの時系列
クリーチャー・トークンが死亡してから『光明の繁殖蛾』の死亡誘発が解決されるまで、どういう手順を踏むのか簡単にまとめてみました。
『光明の繁殖蛾』と1/1の兵士トークンが戦場に出ている状態でトークンに『ショック』が撃たれた、というシチュエーションです。
『ショック』解決後、状況起因処理により致死ダメージを受けたクリーチャー・トークンが墓地に置かれる。
↓
『光明の繁殖蛾』の能力が誘発する。(まだスタックには乗らない)
↓
再び状況起因処理のチェックが行われ、墓地に存在するトークンが消滅する。
↓
状況起因処理のチェックが完了。アクティブ・プレイヤーに優先権が発生し『光明の繁殖蛾』の誘発がスタックに置かれる。
↓
『光明の繁殖蛾』の能力が解決されるが、死亡したクリーチャーが存在しないため何も起こらず終了。
まとめ
トークンは墓地に置かれたタイミングで消滅するため、『光明の繁殖蛾』のような「死亡したクリーチャーを戦場に戻す」能力でクリーチャー・トークンを蘇らせる事はできない。