『宇宙よりも遠い場所』12話の感想

漫画・アニメ

『宇宙よりも遠い場所』の感想を12話だけ書くことにしました。本当は総括もしたいのですが、人の感想やレビューを散々見てしまいまとまらなそうなので12話だけ。

『宇宙よりも遠い場所』が素晴らしいアニメだということは既に語り尽くされたことではあります。

なんですがこのまま漫然としていると、何回も本編を見返して泣く、まとめサイトや海外の反応を巡ってまた泣くという不毛な行為をひたすら繰り返してしまいそうなので、自分なりの感想というのを形にしておくべきだと思いました。

結局ラストシーンについてだけになってしまいましたが記事にします。

報瀬は母が南極で消息を絶ったという連絡を受けてから3年後の今まで、母の死というものを実感できずにいました。

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遺体は見つかっておらず死に顔も拝めていません。また、元々家を空けがちな人だったということもあり報瀬の日常はそれまで通り続いていきます。当時中学生で人の死について知識として知っていても、実感するには難しい状況だったかもしれません。

そしてなにより、もう亡くなったはずの母に向けてメールを書いているシーンが何度も登場します。

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南極に着いたあとも、遺品のPCを見つけてもまだ報瀬の感情が大きく揺れ動くことはありません。

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話は逸れますが、シングルマザー(?)でありながら一人娘を置いて南極まで行った貴子に対して「薄情な親だ」と思う人もいるのかもしれません。もしかしたらまだ幼い報瀬本人も寂しさを募らせ、そう思う時があったのかも。ただ、PCに親子の写真を貼り娘の誕生日をパスワードにしているところからから報瀬への愛情を垣間見ることができます。

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PCを開きメーラーを開く報瀬。最後に受信済みのメールは普通の業務関連のものなので行方不明以降に受信を行っていないことがわかります。そして送受信を行うと……。

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報瀬から母へ向けたメールが次々と受信されます。3年前から送り続けてきたメールが。

報瀬のメールは今、本人の手によって初めて母のPCの元へと届きました。

母の死についてわかっていながら「もしかしたら読んでくれているのかも」と思い送り続けてきたメールは、ただの一通も母に読まれることはありませんでした。数字として現れるこの明確な事実が母は死んだのだと報瀬に嫌でも実感させます。

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また、未読メールの数は報瀬の思いの大きさに直結しています。報瀬本人すら把握していなかったであろう3年間送り続けたメールの件数。未読のカウントが増えるたびに、自分がどれだけいなくなった母を思い続けてきたのかを再認識させます。

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心のダムは決壊し嗚咽と涙が溢れ出てきます。

しかし、これで報瀬は3年越しに母の死を実感し、悲しみ、悼むことができました。

『よりもい』の監督であるいしづかあつこさんはこのシーンについてこちらのインタビューで以下のように語っています。

これは、花田さんが自らの実体験から着想を得たものです。物語の最後、報瀬にどう「とどめを刺すか」悩んでいた際、ふとメーラーを立ち上げたときに思い付いたそうです。

ただ、本来アニメとしてはやらない表現なんですね。普通キャラクターを泣かせる場面というのは、そこに感情のぶつかり合いがあったりとか、もしくは1人孤独な中独白が流れたり、思い出のフラッシュバックがあったりして、分かりやすい記号が用いられます。
第12話のように画面だけで泣かせるというのは、記号として非常に難しいんです。だから私としても「これはまずい」と内心思っていたんですが(笑)、ただアイデアそのものが面白かったので、その内心を隠して挑戦してみることにしました。

言葉はなく、数字が淡々と増えていくという描写でここまで魅せられるのはすごいと思いました。報瀬役の花澤香菜さんの嗚咽の演技も感極まるものがありましたね。

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