世間の『鬼滅の刃』ブームの熱気にあてられて、原作はおろかTVアニメも観ていない両親が無限列車編を観に行ったそうです。
根っからのオタクな私と違い、両親は普段まったくアニメを観ません。
しかし、基本的には超が付くミーハーな2人。千と千尋の神隠し、君の名は、風立ちぬ……大ヒットさえすればアニメだろうがなんだろうが食い付いてきました。
その度に「趣味を共有できるのでは」と淡い期待を抱くのですが、両親から良い反応が返ってきたことはありません。
案の定、今回の鬼滅も「ただ人が死んだだけで泣けない」などと言った感じで不評でした。
「せめてTVアニメ版を観ていれば……」とも思いましたが、前情報なしに映画から観て「面白かった」「泣いた」という感想ツイートを数多く観測していたのであまり関係はなさそう。
鬼滅はストーリーが分かりやすいし、それ以上にアニメーションの凄さが際立っているので、話が合わなくても最悪戦闘シーンだけは楽しめると思っていたのですが……
と考えたところで、両親がアニメの感想を語るとき、いつもストーリーにしか言及しないことに気付きました。
「でも映像はすごかったでしょ?」と返したところでピンと来ない様子。
つまり、アニメーションそのものを楽しむ、という発想が一切ないんです。
実写のアクション映画なら話に中身がなくとも楽しめるのに、それがアニメとなるとダメ。鬼滅の刃クラスの作画を持ってしても関係ありません。
「絵が動いている」以上の感想は出てこないようです。
同様に、実写なら安っぽいヒューマンドラマ(語弊)でも泣ける両親がアニメだとことごとく感動できない、というのも恐らく「架空の漫画絵キャラクターには感情移入できないから」なんじゃないかと思います。
アニメを楽しむにも素養というか訓練のようなものが必要なんだな、というのがわかった2020年の年末でした。