英雄のはずがサンタの語源になり、無関係なイベントで突然ラップを披露。さらにはハンバーグを奪われた恨みでリジェネレイトする……。
一見するとネタ色の強いシトリーさんですが、彼女が料理に執着する理由はキャラストできちんと描かれていました。
誇り高き『メギド』の戦士、シトリー
シトリーはメギドラル時代から生粋の反ハルマゲドン派。
ただ、その理由は正義や倫理ではなく戦士としてのプライド。
「誇り高きメギドの戦士が汚い手を使ってまで勝ちたいのか」という高潔さから来るもので、ヴァイガルドを守ることが目的ではありません。
その後、マモンの提案で追放メギドとしてハルマゲドンに抗う道を選んだシトリー。追放メギドでありながらヴィータ時代の記憶を持たない彼女は、このメギドラル的思想を保ちながら活動を続けます。
料理がシトリーに変化をもたらす
そんなシトリーを『料理』や善良なヴィータとの出会いが変えます。
戦いの中だけでなく、おいしい料理を味わうことや穏やかな時間を過ごすことで充足感が得られることをシトリーは知りました。
しかし、まだ完全な変化ではありません。
第4話でシトリーはヴィータたちを巻き込む戦略を思いつくものの即座に否定します。ですがそれは「マリアナたちを守りたい・傷つけたくない」という感情からではなく、やはり『メギドの戦士』としての矜持からでした。
ショートケーキで目覚める本物の魂
その後紆余曲折あって、ヴィータ時代の思い出の品だったショートケーキを口にしたシトリーはヴィータの記憶を取り戻します。
そもそも、メギドの追放刑とは生まれてくるヴィータに転生し魂を1つに融合する行為。たとえ記憶を封印しようが、転生した時点でシトリーの魂はヴィータと融合し「ヴィータとしてのシトリー」という新たな存在に生まれ変わっていたのです。
ヴィータ時代の日々が今の自分を形作っていることを理解したシトリーは、マリアナたちを「守る」ために行動していたことを認識。
これからは『メギドの戦士』ではなく『ヴィータの英雄』として「ヴァイガルドを守る」べく、改めてハルマゲドンの阻止を誓います。
ゆえに彼女は料理を尊ぶ
つまりシトリーにとって料理とは単なる食事ではなく、ヴィータになって知った素敵な文化の1つであり、「在るべき本来の魂のカタチ」を取り戻す鍵にもなった、彼女の『軸』です。
その料理を軽んじられた怒りはリジェネレイトに相応しいのでしょう。
英雄譚だったシトリーのリリック
当時はただの面白ラップだと思っていた「カタチを成す想い」のシトリーさん。
私シトリー いつも一人旅 使命授かり世界に参上
学ぶ感情 分かる現状 それら教えてくれたヴィータに感謝を
今は仲間 出会い抱いた 決意新たに防ぐハルマゲドン
食べるのは料理 拾ったのは槍 戦えば勝利
Rシトリーのキャラストと「怒れる勇者とプチマゲドン」のイベストを読んだ今では彼女の半生を見事に要約したものなのだと気づきました。
『料理』も単に韻を踏むために出てきたのではなく、むしろ料理こそが彼女の「カタチを成す」ものだったんですね。
まとめ
Rシトリーのキャラストは8話とは思えないボリュームでイベストより濃厚でした。
追放から始まり、出会い、挫折、最強武器ゲット、そして覚醒とまさに主人公の風格。彼女がネタキャラではなく本物のヴァイガルドの英雄となる過程がしっかりと楽しめます。