ベリアルのキャラストはストーリーの中核をなすキャラクターの1人だけあって非常に読み応えがありました。
異分子としての恐怖、不死者ゆえの不安……。さらには普段噛んでいるガムが実は肉親と親友の片身代わりだったり、あのメギドが登場したり(未召喚なのでぜひ引きたい)と、キャラストとは思えない濃密さでした。
中でも驚いたのは「コラン」という名前の登場ですね。
コランの出自
ベリアルの唯一の友人ツイーユが彼女のために残した「種」。
ツイーユは自分の死後もベリアルを支えるため、「古き血筋」の力を持つ孫を残し、来るべき時に子孫がベリアルの助けになるようと家訓を授けました。
その孫の名が「コラン」、奇しくもバエルがヴィータとして使用している名前と一致しています。
もちろん、ツイーユのこの孫がバエルというわけではありません。
バエルがコランと名乗る理由
バエルがコランと名乗るようになった経緯は彼のキャラストで描かれています。
そもそもコランと名付けたのは養子先の1つであるアルバーニ家。曰く、「大地の恵み」を視る力を持っていた先祖の名であり、「大地の恵み」の加護があるようにと代々受け継がれてきた名前だそうです。
この先祖こそツイーユの孫「コラン」のことでしょう。
「古き血筋」やベリアルについての教えは廃れてしまったものの、「コラン」という名前だけは残り続けていたようです。
バエルはこのアルバーニ家からは特に愛情を注がれたようで、「コラン」の名を気に入り以後偽名として使用するようになります。
偶然の連鎖からの芽吹き
偶然にもベリアルと縁深いツイーユの家系に引き取られたバエルは「コラン」の名を受け継ぎ、プランシィのために未踏地へ向かい、そして現在ソロモン王のもとでベリアルと共闘しています。
ツイーユが埋めた「種」は少し形を変え、確かに芽吹きました。
何がエモいって、ベリアルはツイーユが計画した「コラン」のことを知らないし、バエルも「コラン」とベリアルの繋がりを知らないってことです。
人の善意というか、愛の連鎖みたいなものだけがベリアルと「コラン」を結びつけたんですよ……。
おそらくこのキャラスト内でしか語られない設定だと思いますが、とんでもない構成の妙だと思いました。