「オーディンは半神半人」はヴァルキリープロファイルの創作

ゲーム雑記

ゲームや漫画でモチーフとして使われることの多い北欧神話の主神オーディン。

彼が人間と神の間に生まれた半神半人ということはご存知でしょうか?

もともとは力の弱かったオーディンですが、生まれながらにして完全なる存在である他の神とは違い、彼は人間の「成長する」という力を受け継いでいました。それゆえ最終的にあらゆる存在を凌駕し、天界アスガルドの王として君臨した……

というのは真っ赤な嘘

これはPSゲーム『ヴァルキリープロファイル』に登場するオーディンの創作された設定です。

元ネタである北欧神話のオーディンにこんな逸話は一切ありません。

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北欧神話のオーディンについて

オーディンは、最初に生まれた神『ブーリ』の息子『ボル』と霜の巨人『ベストラ』の間に生まれた神だと言われています。

彼は2柱の神と協力し原初の巨人『ユミル』を殺害し、その死体を使って世界を作り始めます。神々が住まう天界『アスガルド』を、さらに人類と人間界『ミッドガルド』を作り出した……というのが北欧神話の大まかな始まりです。

つまり、オーディンは神と巨人の子である上に、人間を生み出したのは他でもない彼です。二重の意味で彼が神と人間のハーフということはあり得ません。

それにユミルを倒したり世界を作ったりと初期から大活躍。もともとは弱い神、という要素もなさそうです。

ヴァルキリープロファイルに出てくるオーディンの出自はやはりゲームオリジナルだと思われます。

神と巨人のハーフだったり、成長エピソードがいくつもあったりするので、VPの設定はこの辺りから着想を得たのかも知れません。

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VPの設定は創作

というわけで、「オーディンが神と人間のハーフで成長する能力を持っている」というのはゲームの創作であり、実際の北欧神話とはまったく違います。

もちろん製作サイドも騙すつもりでシナリオを書いたわけではないでしょうが、オーディンという「名前はよく見るけど何者かは知らない」存在に関する『いかにも』な設定を目の当たりにし、本来のオーディンもそうなのだと信じ込んでしまった人も少なくはないのでしょうか?

かくいう私も、当時リアルタイムでプレイしていた時は「FFとかでお馴染みのオーディンにそんな秘密が!?」とテンションが上がってしまったものです。

もし友達とオーディンについて語り合う機会なんてものがあったら、この知識をドヤ顔で語っていたことでしょう。

幸い、私はふと疑問に思い調べるに至ったので真実に気づけましたが、子供の頃にヴァルキリープロファイルをプレイし、今でもこのオーディンの設定を信じている人が存在してもおかしくはないと思います。

「歴史小説の中で脚色されたエピソードが史実として広まってしまう」みたいなことを度々耳にしますが、ゲームでも同じことが起こり得るんですね……