この間、電子書籍の漫画を読む目的で『Kindle Paperwhite マンガモデル』を購入しました。
「Kindle」はAmazonが製造・販売しているKindle電子書籍リーダーの公式シリーズです。その中でもこの『Kindle Paperwhite マンガモデル』は漫画用に特化しており、専ら読むのは漫画だけの私は当然このモデルを選ぶこととなりました。
が、実際に使ってみるとちらほら不満点も。スマホ・タブレット用のKindleアプリもあるため、必ずしも「Kindleの電子書籍を読むならKindleリーダーが最適」とは言い切れない状況です。
値段の安さも魅力の一つでコスパを含めればいい製品だと思いますが、漫画読みからすると「安物買いの銭失い」になる可能性もあります。
なので今回は『Kindle Paperwhite マンガモデル』で漫画を読む場合のメリットとデメリットについて考えてみました。
購入前の参考になれば幸いです。
メリット
値段の安さ
まずはなんといっても値段の安さでしょう。
「kindle」シリーズは一番安いもので8000円、高画質な「Paperwhite」シリーズは13000円、『Kindle Paperwhite マンガモデル』は同モデルの8倍のストレージでありながら値段の差は2000円の約15000円と非常に安いです。
さらにプライムデーやタイムセール時ならここからさらに安くなり、半額近くで買えることもあります。
公式の専用機種がこの値段だと気軽に手を出せるのでありがたいですね。
大容量ストレージ
漫画本なら約700冊を端末内に保存できます。
「いやいや俺は漫画数千冊持ってるから足りないよ」という漫画好きの方もいらっしゃるかもしれません。ただ、実際読み返す漫画ってある程度限られていませんか?あくまで携帯用端末なのでこれに全蔵書を入れる必要ってあまりないです。(入れたくなる気持ちはわかりますが)
よく読み返す漫画だけ保存しておく分には十分な冊数ではないかと思います。
目に優しい特殊な画面
スマホやタブレットの液晶画面は常に強い光を放っていて、目への負担も大きく長時間眺めていると疲れてしまいます。その点においては「Kindle」に大きなアドバンテージがあります。
「Kindle」は電子ペーパーであり、その画面は液晶というより紙に近いです。
印刷された紙とほぼ同じ感覚で読めます。バックライトは不要で自然光だけ読めるので目にも優しいです。
漫画読みの方であれば数時間ぶっ続けで漫画を読むこともそう珍しくはないと思いますので、紙に近い性質で目への負担が少ないというのは「Kindle」をオススメできる理由の1つだと思います。
持ち運びに便利なサイズと軽さ
文庫本ぐらいの大きさでさらに軽く、外出時の暇つぶし用の感覚で持ち歩いてもまったく邪魔になりません。
私はたまに「iPad Pro」をカバンに入れて出かけることがあるのですが、大きいし重いしでかなり持ち運びには辛いです。結局使わなかったりすると持ってきたことを後悔するレベルです。
具体的に重量で比較すると「iPad Pro」が469g、「Kindle」が205gです。
また、片手持ちでページ送りが難なく行えるいいサイズでもあります。軽いので片手で持っていても疲れにくく、8〜9インチが一般的なタブレットにはない長所です。
タブレットでも電子書籍は読めますが、外出先で読むため端末を頻繁に携帯するのであれば「Kindle」のサイズはかなりのメリットと言えます。
バッテリーの持ちが良い
公式の商品説明によると「充電は数週間に一度だけ」で良いそうです。
実際使っている感じだとさすがに週に1回の充電は必要になるかと思います。ただ、それでもほぼ毎日の充電が必須なタブレットに比べれば圧倒的に持ちは良いです。
スマホにタブレット、ワイヤレスイヤホンにモバイルWi-Fi、モバイルバッテリー……と日々電池残量を気にしないといけない携帯端末がどんどん増えている今、このバッテリーの持ちの良さは心強いです。
デメリット
独特なページ遷移
「Kindle」は電子ペーパーの1種で、表示画面はスマホ・タブレットの液晶画面とは全く違う仕組みになっています。そのため画面の切り替えが非常に独特です。
具体的に言うと、ページをめくるたびに画面全体にノイズが走ります。
電子ペーパーの性質上、一旦白黒に反転させないと画面のリフレッシュができないため、このような画面になるそうです。文字が規則的に並んでいるだけの小説はともかく、細かな線やスクリーントーンで構成されている漫画の場合はページをめくるたびにかなり違和感のある画面が一瞬表示されます。下の画像はgif動画です。
私はこれについて何も知らずに購入したので、初めて見たときはかなり面食らいました。
使っているうちになんだかんだで慣れてはきたものの、紙のページをめくるようにスムーズに遷移するスマホ・タブレットと比較すると欠点と言わざるを得ません。
モノクロ画面でカラーを見ることはできない
「大半の漫画のカラーページなんて表紙と数ページだけだから問題ない」といった意見もありそうですが、表紙もモノクロになってしまうのは漫画好きとしてはかなり寂しく感じます。
また、Kindle電子書籍にはフルカラー化された漫画もありますので、そちらを持っている方にとっては明確なデメリットとなります。
動作がモッサリ
とにかく反応が悪いです。
何をするにしても、タッチからワンテンポ遅れて動き出します。
ここまで言うレベルではないかもしれませんが、最近のやたらとサクサク動くスマホやタブレットに慣れてしまっている方、今までスマホ・タブレットで漫画を読んできた方にとってはちょっとストレスになるかと思います。
漫画向きではないUI
高速ページ送りなど「マンガモデル」独自の機能はいくつかあるのものの、UIに関しては他のモデルとほとんど違いがなく、漫画を読んでいると不便な点がいくつかあります。
すごく細かな指摘のように見えるかもしれませんが、前述の反応の悪さと合わせると「塵も積もれば山となる」のごとく大きなストレスになりかねません。
巻数移動が自由にできない
漫画を読んでる最中に任意のタイミングで別の巻に簡単に移動することができません。その場合はライブラリでイチから選び直すことになります。
漫画を読んでいる時、特に読んだことのあるシリーズを読み返している時なんかは、「ここらへんあんま面白くないから飛ばすか」とか「前の巻でどう描かれていたか確認したい」ということはよくあるかと思います。その場合にワンタップないしはツータップ程度で前後の巻に移動できないのはなかなか不便です。
一応、奥付あたりまで行った状態でメニューを開くと「次の巻に移動する」ボタンは出てきます。ただこの機能にも2つ不満点があります。
1つ目はWi-Fi接続時でないと機能しないこと。外出時の利用でもネット接続している必要が出てきてしまいます。
もう1つは、この機能で次の巻へ移動しても前回読んだページから再開してしまうことです。前巻を読み終えての移動なので当然次の巻は頭から読みたいのですが、都度最初のページまで戻る操作をする必要があります。
拡大機能が使いづらい
『Kindle』は漫画を読むにはギリギリのサイズなので細かいコマなどを拡大して見たいことがよくあるのですが、この拡大機能もちょっと使いづらいです。
まず、レスポンスの悪さが影響してピンチアウトしようとしてもページ送りに誤認識されることがよくあります。スマホ感覚で操作すると駄目なのでまず指二本をしっかり画面にタッチしてからピンチアウトする必要があります。
さらにノータイムで拡大できるというわけではなく、ピンチアウトすることで拡大モードというものに移行します。
拡大モードに入ると右下にミニマップが表示され、1ページ内のどこを見ているのかがわかるようになっています。
不便なのはこの状態のままページ送りができないということです。ピンチインで画面を通常サイズに戻すことで拡大モードが終了するので、この1工程を経てページ送りが可能となります。
こんな人にオススメ
私が実際に使ってみて、この製品はどんな人に向いているかまとめてみました。
- 安い電子書籍専用端末が欲しい
- スマホやタブレットのスペックにはあまりこだわらない
- 通勤など外出先で使うのが主な用途
- 電子書籍サービスはKindleしか使わない
- 気になった漫画を買い込むタイプで一度読んだ漫画を読み返すことは少ない
- 長時間漫画を読む
- 目が疲れやすい
- 漫画の絵はとりあえず見れれば良い
- 小さい文字を読むのが苦ではない
これらに当てはまることが少ない方は「Kindle」よりもタブレットの購入を検討したほうがいいかもしれません。
私は使ったことがないので堂々とオススメはできませんが、「Fire HD」などの格安タブレットを電子書籍用に使うというのもアリではないでしょうか。
絵の綺麗さという点ではやはりタブレットのほうが上だと思います。最近では電子書籍以外にも無料漫画配信アプリも増えてきたので、それらが読めるというのもタブレットの強みと言えます。